
お肉の美味しさはどんな要素で決まる?成分?温度?
土佐あかうしを食べると赤身の旨味に驚く方がいるほど、海外の肉、国産の土佐あかうし以外の肉に比べると、旨味が凄いという声を聞きます。土佐あかうしの肉が美味しいのは何か関係しているのかについて解説します。
人が肉を食べて「美味しい」と感じる要素はこれ
美味しさを感じる5つの味覚というのがあります。古くは4つの基本と言われていました。1916年ドイツの心理学者ヘニングが酸味、苦味、塩味、甘味の4基本味説を世界に広めました。その後日本人の味覚として知られる「旨味(うまみ)」としてグルタミン酸の旨味成分を池田菊苗博士が発見し5つの味覚が主になっている説を広めています。土佐あかうしはこの5つめの味覚が大きく関係しています。
旨味成分は日本人が特に優れた感知能力があると言われており、海外の方は旨味成分を感じる事が出来ないという説もありますが、外国人観光客の方が日本に来て味噌汁、煮物などを食べて美味しいと感じるということは旨味成分は多くの人に感じる事ができる味覚成分の一つと言えそうです。日本人は出汁を大事にする事から自然と旨味を敏感に感じられるのかもしれません。 |
土佐あかうしの美味しさの秘密は何?
土佐あかうしは他の和牛と異なる特徴を持っています。土佐あかうしが美味しいと言われる理由は
- ゲルタミン酸・アラニン等のアミノ酸が豊富
- オレイン酸等不飽和脂肪酸が豊富
アミノ酸が豊富だと出汁と同じように「旨味」とかコクを感じやすくなります。オレイン酸といった不飽和脂肪酸が豊富だと食べた時にくちどけが良くジューシーで高い満足感を得られながら、体内に留まりにくい良質な脂質です。土佐あかうしは赤身が美味しくて、脂身がスッキリしているという評価をする人が多い理由はこうした科学的な所からもわかります。アミノ酸は黒毛和牛の2倍以上、熟成すれば3倍以上にまで増加するのです。
熟成することで増す旨味は黒毛和牛を超える土佐あかうし
社団法人高知県畜産会さんの出している土佐あかうしものがたりは非常にわかりやすい土佐あかうしの説明をした資料(監修:高知県畜産振興課/高知県畜産試験場)ですが、その中でも黒毛和牛との熟成後の成分比較が分かりやすく記載されています。

和牛は処理をしてから即日お店に出すという事はなく多くが数日経過してから出されます。更にお肉のプロがいる焼肉店、飲食店、精肉店などでは設備の整った環境でお肉を熟成させて最高の状態にして出しています。土佐あかうしを2週間熟成した比較では、アミノ酸が黒毛和牛の2倍、グルタミン、ペプチドも黒毛和牛を超えています。28日熟成だとアミノ酸は黒毛和牛の3倍にも達しています。
土佐あかうしの肉質は赤身が「非常に深みがあって美味しい」という感想を持つ方が多い理由は、旨味を感じる成分が多い事と、上質な脂の成分が関係しているのがわかります。熟成したら更に倍増するので、熟成して美味しさをアップしたお肉を食べられるお店で食べると更に美味しい土佐あかうしが楽しめそうですね。脂部分にも特徴がありオレイン酸効果で、口どけが素晴らしいのです。脂が溶ける温度が低い事で知られ熱を加えた時はもちろん、口に入れた時の脂質の変化が早く柔らかく感じます。
オレイン酸が多ければ多いほど口どけの良さとコレステロール抑制
オレイン酸は不飽和脂肪酸で人体にとって良い性質を持っています。近年話題になっていますがコレステロールを抑制したりする効果が知られます。温度を上げると溶けますが沸点が低い事から口に入れたら溶けるような感覚を体感できることから、土佐あかうしは赤身もサシも何ともいえない柔らかさを楽しめるというわけです。
アミノ酸などによる旨味成分、全体的にバランスの良いサシ(脂)の入り方、脂の質の良さが土佐あかうしの美味しさのベースを支えています。こうした特徴がヘルシーな肉を求める流れと合致したと言えそうです。