
土佐あかうしの生産者様を訪ねるシリーズ第7弾は、高知県長岡郡本山町の秋山さんです。
秋山さんは、ご結婚を機に畜産の仕事を始められ、以来23年間携わってこられました。
現在、約60頭の牛を飼われており、そのうち赤牛が8割ほど。繁殖も手掛けられ、特に子牛の育成に力を入れているそうです。
- 結婚を機に畜産農家へ
- 繁殖も手掛け、子牛の育成に力を入れる
- 系統も考慮し繁殖に取り組む
目次
▼土佐あかうし協会チャンネル YouTube動画・全編
秋山さんの牛舎と、畜産の盛んな嶺北地域

秋山さんの牧場は、本山町の国道439号線から山間に入った静かな地域にありました。
最初に案内いただいた母牛と子牛の牛舎は、運動場が併設されており、出産を終えた母牛が運動場を歩いたり走ったりしていました。産後の母牛の運動やストレス解消のためにしているそうです。
すぐ傍には子牛もいるので、時々母牛は運動場から子牛の様子を見たりもしていました。
すぐ隣にある肥育の牛舎も見せていただきましたが、どちらも牛舎にいる牛の足元にはおがくずが敷かれており、おがくずは地元の製材所から手に入れているそうです。

本山町のある嶺北地域では、畜産が盛んで定期的に子牛の市場も行われます。
訪れた5月にも子牛の市場が予定されており、「今月は80頭ぐらいで、黒牛もいますが多分赤牛のほうが多いと思います。大体8ヶ月前後が多く、早くて6ヶ月手前のもいます。」とのことでした。
高知県内外からも、子牛を買いに人が集まるそうです。

秋山さんの牧場では、繁殖で生まれた子牛を肥育と繁殖に振り分け、足りない際に市場で子牛を買ってくることもあるそうです。
肥育だけでなく繁殖まで行うのは大変そうに感じますが、子牛の価格は上下が大きいこともあり、経済的には効率がいいそうです。
秋山さんが思う、赤牛と黒牛の違い
秋山さんによると、赤牛は飼いやすいけれど難しい点も多く、雌だと増体がのらない、同じ種でも育ち方にバラつきがあるそうです。
一方で黒牛は、安定して大きく育ってサシが入るので、そういった面で飼いやすく、悪い点は、ちょっと気性が荒いところとのことでした。
秋山さんの赤牛の出荷時の目標は、枝肉で500キロとのこと。
牛の育ち方は育成時期が一番大事と考え、育て方に色々と試行錯誤されているそうです。

子牛の育成。たくさん食べられるお腹づくり


秋山さんが一番大事と考え力を入れている、子牛の育成についてお伺いしました。
まずは、粗飼料を多く食べさせ、その後に腸内細菌を安定させる発酵飼料も使い、たくさん食べられるお腹に育つよう、子牛のうちから取り組まれているそうです。
お腹づくりができている牛は、大きくなるにつれてお腹に張りがでてきて「この牛のお腹はいいね」といった印象になるそうです。
また、お腹づくりができていない牛は、途中で食べれなくなってしまうとのこと。
設定したエサの量を牛が食べられなくなり、最終的に大きさが違ってくると、秋山さんは語られていました。
秋山さんは、ほかにも色々試行錯誤しながら子牛の育成に取り組まれており、なにか育て方を変えたら必ず枝肉を見て、取り組んだことがどうだったかを確認するようにしているとのことでした。
秋山さんが取り組んでいること

秋山さんに牛を育てる上で一番苦労したことをお伺いすると、しばらく考えられたのち「嫌だったことはやっぱり、子牛が死んでしまったりすること。」とのことでした。
牛を見守るための機械の導入について秋山さんにお伺いしました。
特に分娩での事故が一番防ぎたいことだそうで、分娩センサーやカメラも導入されていました。(肥育の牛舎には、カメラを多めに入れているそうです。)
体調をみるセンサーなどの機械をもっと入れたい気持ちもあるそうですが、現状の頭数・規模だとコストが大きくなってしまうため難しいそうです。
もし具合が悪い牛が居たらよく気にかけてお腹の状態を見たりして、あとはできるだけ自分の目で見て管理するようにしていると言われていました。
牛の仕上がりに、系統は外せないポイントです。
繁殖も手掛けられている秋山さんが、参考にされている資料を見せていただきました。
「褐毛和種 高知系 種雄牛案内」
優れた遺伝子を持つ種雄牛の情報を公開している高知県畜産試験場の資料。系統や育種価、近郊係数、肥育成績など牛の情報が記載されています。
牛の遺伝子検査結果
牛の遺伝子解析をしてくれる高知県畜産試験場の検査結果資料。

秋山さんの牛の遺伝子検査結果資料
後者の遺伝子検査はまだ精度は低い技術らしいとのことですが、繁殖に取り組まれている秋山さんは面白いと考えて、参考にされているそうです。
コスト高と、現状の市場価格について
ここ数年の生産現場で、飼料高騰などコストの増加は無視できない状況にあります。
秋山さんの牧場の場合は、2年前は1日700円だったのが今は1000円と約4割もの値上がりになっているそうです。
一方で、赤牛自体の市場はどうなっているのでしょうか。
赤牛の価格は上がっているのかお伺いしましたところ、「(飼料などの高騰があっても)赤牛の価格は上がってないと思います。上がってないため自分たちもそんなに高い牛を買えず、今度は繁殖農家さんにしわ寄せがいっている、農家同士でしわ寄せをしているような感じがする。」と。
また、現状については、「率直な意見で言うと、厳しいですね。本当に3年かけて、少しっていうのしかないので。これから先に向けて、不安がすごいありますね。」と、先を案じられていました。
これからの展望

秋山さんは、お子さんが県外で畜産をされています。「もし子どもが帰ってきて牛飼うことになったら、今の畜舎は古いので、新しい畜舎を建てることを考えたり、これから子どものサポートもしたいですね。」とおっしゃられていました。
秋山さんへインタビュー!

インタビュアー:広報理事 小田雄介(おだち)
よろしくお願いします。
はい、お願いします。
何年ぐらい赤牛を育てられていますか?
23年になります。
この牛舎はいつから?
この牛舎は12年ほど前に移動してきました。
その経緯というか、どういう流れで始まったのかというのを教えてもらっていいですか?
もともと自分は家が農家ではなかったので、結婚した先が、牛飼い…畜産農家だったんですね。
そこで一緒に牛飼ってたんですけども、こちらが空くということで。手狭にもなってたので、こっちに移動することにしました。
結婚した先がもともと赤牛を育てられてたってことなんですけど、それがなかったらなかなか畜産とかっていうのは全然イメージなかったって感じですか?
全く無かったですね(笑)
結構今、例えば担い手不足とかそんなのが叫ばれてますけど、その畜産に関わる前と後ではどういった印象の違いがあったりしましたか?
畜産に関わってっていうと、やっぱり食べ物ですから。
今まで普通に食べてたものと、自分が育てたものを食べるというのでは、全然そこらへんの意識は変わりましたね。
赤牛と黒牛はどんな違いがありますか?
例えば育てるのに関してもそうですし、どんな特徴があって、どんな難しさがあるかなと。
赤牛でいいと思うのは、やっぱり飼いやすいとこですかね。ただ難しいところも多くて、雌だと増体がのらない。で、サシが入る牛がおっても、次同じ種をつけても、バラつきがあるっていうのもありますね。
黒牛のいいとこは、やっぱり安定しておっきくなってサシが入る。っていうので、見やすいですね。悪いところは、ちょっと気性が荒いとこがあると思いますけど。
赤牛は逆にやっぱりその…サシがもちろん入りにくい、牛ですもんね。そこをどういう風な狙いというか、どんな赤牛を狙って、秋山さんは育てられてるんでしょうか。
サシを入れようっていうのはもうちょっと置いといてですね。
自分は繁殖もやってますので、出てきた子牛の育成っていうのをすごく力を入れてまして、やっぱりちっちゃい頃からのお腹の腹作り、骨格とかも全部ですけど結構育成の時期に力を入れてあげた方がのちのち、やっぱりお腹もできてますし、おっきく食べれる牛になると思ってやってますね。
年間何頭ぐらい出荷を?
年間17、8になると思います。
今の例えば市場価格とか、そういったものってどうお考えですか?今いろいろ飼料高騰したりだとか、そういうのもありながら、全体的に。
率直な意見で言うと、厳しいですね。
今のとこで行くと、何て言うんですかね。本当に3年かけて少しっていうのしかないので。ちょっと不安がすごいありますね、これから先に向けて。
お子さんが県外で畜産もやられてるって風に伺ったんですけど、今後の展望というか、こうしていきたいなみたいなっていうのがあります?
うちの畜舎もやっぱ古いので、子どもが帰ってきて牛飼うってなった時には、ちょっと畜舎を建てたりっていうことは考えてますし、これからやっぱ子どものサポートっていうのもしたいですね。
赤牛って改めて、どんな特徴がある牛ですか?
赤牛やっぱり赤身が美味しいって言われてますので、赤身推しなんですが。脂身にもやっぱりちょっと甘みあって自分は美味しいかなとも思いますので。
僕もそう思います。
食べ方も色々楽しめるんじゃないかなと思います。
最後、赤牛をこれから食べてくれる皆さんに一言、頂いてもいいですか?
一頭一頭愛情を込めて育ててますので、ぜひ食べてみてください。
はい!ありがとうございます。
ありがとうございます。
※インタビューは人柄や空気感を伝えられるよう、できるだけ話し方そのままに近い文章で文字起こしをしております。
インタビュー記事は抜粋内容になります。全編はYouTube動画をぜひご覧ください。
▼土佐あかうし協会チャンネル YouTube動画よりインタビュー抜粋
土佐あかうし協会YouTube動画・全編
秋山さんはご結婚を機に畜産の仕事を始められたとのことで、ご苦労もたくさんあったかと思いますが、そんな苦労を感じさせない穏やかな人柄と、自分なりの牛づくりに取り組まれている熱意が静かに伝わってきました。
また、「種雄牛案内」や牛の遺伝子検査結果の資料を見せていただき、そのたくさんの牛の細かなデータに、繁殖においていかに系統が大事かを感じられた気がしました。
まだ精度は低いとのことでしたが、遺伝子検査表にスタッフ一同興味深々で、掛け合わせるとどんな牛が生まれるのか、どんな特徴の牛を目指すかなど、想像に話が膨らんだりもしました。